日本人には日本人にあったカウンセリングが必要です

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心療内科と精神科、カウンセリングの現状

1 はじめに
 
ストレス社会といわれる現在、精神疾患にかかる方は非常に増えています。特に25年ぐらい前からうつ病やパニック障害(不安神経症)などの各種神経症は急増していますし、また以前より不眠症、正式な病名では無いとされながらも自律神経失調症や不定愁訴で悩まれている方は変わらずに大勢います。
 
この様な状況の中で精神科にかかることは精神がおかしい人=精神病と認識して、専門
医にかからずにいた方も多かったのですが、少し心が疲れただけの方達を精神病(統合失
調症と双極性障害)と分ける意味で、「心の病」と呼ぶようになりました。
更に心療内科という診療科が正式に認められたことにより、以前よりはかなり気楽に精神
領域の医療機関にかがられる方も多くなりました。
 
心療内科の本来の領域は、胃潰瘍・高血圧・喘息一過喚起症候群・狭心症などの心身症で
すので、私は心身症も心の病の中に加えて考えています。
また、近年では、過敏性腸症候群、偏頭痛、慢性疲労症候群などもとても増えていますが
これらの病も精神面の影響が強いので心の病の一部と捉えても良いと思います。
 
現代は情報化社会であり、それがストレスを生み出しているー因にもなっています。しかし情報化社会であるにもかかわらず、多くの方はメンタルヘルスに関する情報に精通していない現状があります。
メンタルヘルスの知識を身につけていただくことは、別に書かせていただくとして、実際に心の病でお困りになっている方に対して、医療機関、カウンセリングの現状をここではお話してみようと思います。


2 医療機関の現状
 
心の病の代表としてうつを例えにしてご説明してみます。うつとその他の心の病の対応は医療機関では薬を含めてその対応に大きな違いはありません。
 
さて、体が動かない、憂鬱感が強い、集中力や気力が無くなった。寝つけない、睡眠の途
中で覚醒してしまうなどの症状が出て、仕事、家事、勉強など休んでも一向に良くならない時、皆様はどうされるでしょうか。
 
この場合心療内科、精神科の専門医に診てもらう必要があるのですが、実際に症状が出
始めの時には、何とか我慢して普段の生活を続ける方が半数。残りの半数のうち内科、婦
人科などに受診される方が70%。残りの30%が心療内科、精神科の専門医にかかられています。内科などにかかられた方の多くは、心療内科、精神科を勧められ、そのうち75%の方が専門医にかかられているようです。
 
更に医師の受診を受けなかった方で自然と治るケースもありますし、精神的な薬や精神領域の医療機関にかかることにどうしても抵抗がある方もいますが、どうしようもなくなり専門医にかかる方が25%といわれています。
結局症状が出てから専門医にかかる時期はずれますが、65%位の方が今日では専門医にかかられています。これらの統計は諸説がありますが。他の心の病では初診が専門医にかかる割合は若干高くなります。
 
では先のような症状になったらどうするか。更に医療の現状を書いていきます、先ずはゆっくり自宅で休養してみましょう。しかし、1週間ほど休んでもー向によくならなければ病気かどうか診断してもらわなければなりませんので、クリニックに行きます。ここでメンタル的な症状が強ければ、心療内科か精神科にかかることになります。
 
ところで、皆様の中には心療内科と精神科の区別がついてない方も多いのではないでしよ
うか。先にも書きましたが心療内科の領域は基本的に心身症です。つまり、心から或はス
トレスからくる内科領域の病気を専門的に診る科です。(もっとも病気の原因の殆どがストレスといわれているのですが)ですから、風邪などは心療内科ではないですね。但し傾向として、専門に加え、心の病といわれる方も診られます。
 
精神科は心の病のほか精神病、或は少し違う領域になりますが、こちらも近年急増してい
る発達障害や○○性人格障害などを含め、精神に関係する全てを担当することになります。
 
心療内科だけを掲げていれば、心身症と心の病を扱うとお考え下さい。イ旦し、心の病のうつでも幻覚や幻聴などが出ている重篤な場合は精神科を勧められます。
                                        
あと、皆様が分かりにくくなっている要因に心療内科・精神科と看板を掲げている所が多いからだと思います。この様なときには精神科つまり、精神に関するすべてを診てもらえるとお考え下さい。
 
戻りますが、休んでも良くならなければ、心療内科、精神科のクリニックの予約を取ります。(大抵は予約制です。特に初診は)但し、どこが良いか迷いますよね。精神の医療機関の選び方は非常に難しいです。
 
評判がよければ予約はかなり先になりますし、予約をしておいても2時間待ちなんてこともあります。いきなり大学病院とか、いわゆる精神病院、総合病院の精神科には行きにくいですし、紹介状が必要な所も多いので、先ずは地元から少し離れたクリニックが良いと思います。(近くでも気にならない方は気にしなくて良いですが、待合室で知り合いと会うことは結構多いです。)
今はHPを作られているところも多いので、こちらでご自身の不安が少しでも和らぐ所を選ばれるしか無いと思います。医師の顔写真が出ていると相性も少し分かりますよね。でも
取り敢えずかかってみるしかないのが現状です。予約制のところは出来るだけ早く取れるところがよいでしょう。後々にも関係してきます。
 
日時が決まれば、ご本人、付き添いが必要であれば予約時に同行を確認しておきましょう。断られることはまずありません。用意としては、医師に話したいことを簡単にまとめておきます。
よく書いた物を手渡す方がいますが、自分で伝える事が診断の目安にもなります。
それを簡単に受け取り診断の判断にする医師は如何と思います。
 
クリニックによっては医師の診断の前に質問項目に答えておくところもありますし、医師が直接確認する事もあります。 DSM やICDなどの診断基準を使たり、各種確認テストを行う事もありますが、どれも日本人の精神疾患を正確に捉えられる物ではありません。

心の病の場合、初めも終わりも自己申告で判断されると思われ、出来るだけ正確に伝え、答える事が大事です。この時点で病気と診断されれば、以降医師に管理してもらう必要があります。                  
 
ここでよく間違えるのが、医師がカウンセリングをしてくれると思っていることです。「医師に相談を」とはよく使われる言葉ですが、相談にのってくれる医師は極わずかですし、カウンセリングはまずしません。正確には出来ませんし、医師の仕事ではありまん。カウンセリングとは患者さんの気持ちに即して受け入れ、聴きいれるものですが、医師は医学的見解や理論を正確に伝えることが仕事です。
                       
診察時間にしても初診時には30分ぐらいかけて話をよく聞いてくれますが、2回目からは3分~15分の診療が普通です。処方された薬の効果と体調の確認、良い医師で若干患者の話を聞いてくれ、アドバイスがもらえます。ただし、カウンセラーから敢えて言わせていただければ、医師のアドバイスは一般論で一人ひとりに即したものではないことが多いです。相談を受けてくれたとしても同じです。
 
すでに精神領域の専門医にかかられている方は、これらの事にご不満をお持ちになること
も多いと思いますが、このことだけで医師を変えてみるのは無駄と思われて下さい。何所
でもたいして変わりはありません。


さて、診断ですが、日本には心の病、精神病に関するはっきりとした診断基準はありませ
ん。米国のDSMやWHOのICDを使う医師もいますが、精神に関することであり国民性、環境等によってかなり差異が出てきますので、項目の数だけで病名を決めつけるのは問題があるので、正式に採用されてはいないのだと思います。しかし、最近顕著に増えてきて医師のマニュアル化診断は医学界でも問題になっています。心の病は一人一人の置か
れた状況、生まれ持った性格などに大きく影響され、マニュアルから外れてしまう例外的な方が多いのに、無理にある分類に収めようとする、マニュアル化診断には問題が多いと考えています。
 
心の病、精神病の殆どが発症のメカニズムですら解明されていないのですから、マニュア
ル化診断は時期尚早だと思います。
 
ここで、医師の実力に差が出ます。如何に正確な診断をする事が出来るかです。これには
患者さんもしっかりと質問に答えなければなりませんが、精神的な面から正確に答えられ
ない方も多いものです。精神疾患の場合直ぐに診断名を決められず、経過観察をすること
も多々あります。(カルテには一応の診断名は記しますが)そのことを含めてよい医師の第一項は正確な診断が早く出来るかになるわけです。実際うつ病とそううつ病では全く異なる処方になるわけですので、診断基準がはっきりしてないとはいえ、正確な診断でなければ、とても危険なことがお分かりになると思います。
また、最近の傾向として、うつ、パニック障害、社会不安障害、自律神経失調症と患者に複数の病名を告げる医師が増えていますが、私的には如何かと思います。
 
第二項としては、その方にあった薬を適量処方できるかです。           y
医師はカウンセリングを行いません。精神の専門医といえ多くが医学生のときにカウンセリングを習っていません。カウンセラーを別に所属させている所は結構多くなってきましたが、こちらに関しては後程詳しく述べます。
つまり、医師が治す手段としては、薬しかないわけです。
 
うつ・心の病の処方(薬)で多いケースは抗鬱剤、抗不安剤で、睡眠障害がある方には加え
て眠剤が出されます。症状にもよりますが、基本的には各各少量からの処方となり、効果
が認められる量や薬の選択が適正に行えるかが、医師の技量になります。抗欝剤は効果
が現れるのに1、2週間ほどかかりますが、その間に吐き気、めまい、便秘、のどの乾きなど、副作用が強く出る方がいます。ここでも処方が上手くコントロールできなければ、患者さんの苦痛が増えますし、それによりクリニックを変える方はまだ良いのですが、クリニックに通わなくなってしまうことも少なくありません。
但し、最も良医でないのは、各各の副作用を抑える薬を直ぐに出す医師です。診察開始か
ら一週間で7・8種類の薬を出す医師もいます。この様な医師にかかられたらセカンドオピニオンを必ずして下さい。
 
心の病の中で心身症はその疾患に合わせた薬が主薬になりますが、抗鬱剤と抗不安剤
が出されることもよくあります。また、自律神経失調症も同様ですが、はっきりした病名では無いとする医師が多い事もあり、薬に対してかなりバラつきがありますし、薬を出さない医師もいます。
心療内科・精神科では余程異常が無い限り、まず薬を勧められますので、出さない医師の
方が良心的かもしれませんが、心の病の専門医は薬でしか治療できませんので、患者さ
んはどうしたらよいか不安になりますね。
 
では、処方された薬で治るのでしょうか。発症のメカニズムさえ分からないのが現状ですので、薬は対処療法としかいえません。まして、薬には副作用がありますので多種、多量には服用すべきではありませんね。
心の病も他の多くの病気と同じく自己治癒力で治すしかないのです。

こう書いてしまうと薬を服用する意味が無いのではと思われるかもしれませんが、的確な
薬を適量服用することによって、症状を緩和させ、心身が楽になることで自己治癒力が上
がり治っていくのです。ここで良質な休息と睡眠が多く取れればより早く治るわけです。皆さん風邪も薬で症状を抑えている間に自己治癒力で治しているんです。病気で入院しても殆どはゆっくり休息をとりながら寝て、寝て、自分で治しているのをご存知でしょか。
 
しかし、特に心の病の方には強敵が自分の中に潜んでいるのです。それは私が「思考オ
ーバー」と呼んでいるもので、常時この様になった原因を考えていたり、不安、焦り、怒り、苦悩などのネガティブな感情を意識してしまうことです。
これらの事を意識していては自律神経の中で活動、興奮をつかさどる交感神経が優位になり、リラックス、修復の神経である副交感神経の活躍の場がなくなります。この状態では症状を緩和させるための薬は効果が薄くなり、自己治癒力が上がるわけが無いのです。
つまり、治らないわけです。
 
このことは私の著書「快眠がうつを防ぐ・自分で治すうつ」に「思考オーバー」(常時ネガティブ感情を意識したり、考え過ぎてしまうこと)の解決法を含めて、詳しく載せてあります。うつの方だけでなく、心の病の方共通ですので、宜しかったら読んでいただければと思います。
 
薬だけのアプローチではうつ病など心の病はほとんど早く治らないのです。
 
NHK取材班がまとめたうつ病に関するデーターでは、薬の効果があったとされるのは
66%で、更に効果があった人の半数以上が再発していると報告しています。治ったとされ
てからも多くの方は薬を飲み続けますから、つまり薬だけでは治らない人が圧倒的に多い
という事になります。
治った方も私はゆっくりとした休息、睡眠が多く取れ、副交感神経が優位な状態で、日々を過ごされたことと、医師の技量で適切な薬を適量服用した相乗効果によるものだと思います。
 
技量の無い医師ほど、症状が良くならなければ、多種多量の薬を出します。
専門医であっても患者さんが通っている限り、症状が改善されなければ、どんなに副作用
が出ようが、薬がどんどん増えていくのが日本の医療現場の現状なのです。他国ではこの
様に薬を増やしていく方法はとられていません。先の取材班もこの現状に強い警笛を鳴ら
しています。やっと最近同じ成分が含まれている薬を重ねて処方することが原則禁止とされるようになりましたが、現場では患者さんのことも考えて厳格には行われてない状況です。
 
比較的処方が確立されている、うつ病でもこの現状ですので、他の心の病の方には医師によってかなりの違いが出てきます。
 
クリニック、医師を選ぶ上でこの第一・二項がとても大事ですが、残念ながらかかってみなければ分かりません。今までの事がご理解いただければ、今ご自身が通われている医師
についての判断が出来ると思います。良くないと思われたら医師を変えて下さい。但し、病気である以上必ず医師に管理してもらうことは必要です。様々な面で主治医がいると有利になりますし、医師には本来治すために全力を尽くすという責任もあるのですから。
相性は?と思われる方もいるでしょうが、医師の場合はカウンセラーと異なりご自身にとって余程暴言を使われる、態度がきつい・悪いなどでなければ先の実力本位を基準にして下さい。


3  カウンセリングの現状
 
先ず、一般の心理カウンセリングについて少し触れておきます。
カウンセリングの基本とは、カウンセラーが相談者の話をただひたすら聴き、受け止め、鬱積したものを吐き出させるようにすることです。受け入れられた安堵感と全く利害関係のない方に、心の内全てを話せたスッキリ感は特別なものです。カウンセリングの中では、心の中にあるさまざまな不安、イライラ、苦悩や怒りなどの感情を言葉にして表現します。
これを繰りかえすことにより、相談者はやがて、その苦痛から解消され安定感を得られ、自身で何かしらの気付きを導き出し、自己変容につながり、本来の健常な状態にも戻れるようになります。                
 
確かにこのことはカウンセリングの基本なのですが、カウンセリングそのものではありません。この基本は心理療法の中の来談者中心療法というものです。もしこの基本がカウンセリングのすべてだとすればカウンセリング自体が心理療法の中のー療法だとの捉え方も出来るわけです。私はこの位置づけでも良いと思っていますが、単純に皆様が思われているように本来カウンセラーは問題を抱えた相談者を心理学・医学などの専門知識によって援助する人で、カウンセリングは相談者の一身上の諸問題に対し、カウンセラーが個別に面談して指導、アドバイスをしたり、心理療法により問題を解決していくものだと思っています。
 
一般の心理カウンセラーへの相談は恋愛から対人関係、心の病、育児、自己啓発、法律
的相談など、すごく広域になります。ただ聴いているだけのカウンセリングではかなり無理があります。
確かに自分の相談を優しく聴きいれ、受け止めてくれるだけで気持ちがとても楽になり、心が支えられ問題が解決、改善される方もいらっしゃいますが、一方カウンセリングに通っても、ただ話しを聴いてくれるだけで、何もしてくれない、アドバイスも無いと不満に思っている方も多いのではないでしょうか。
 
ところが最近では養成機関の多くで、心理療法のーつである来談者中心療法こそがカウン
セリングであり、その主である受容・共感・傾聴(傾聴技法とも言います)を習得できればカウンセラーとして活動してよいとのお墨付きを、ひどい所では30時間ほどの講義、更には通信講座だけで与えています。

これは、たとえボランティアでのカウンセリングであっても、とても危険なことです。
ボランティアへの相談でも、対応如何では自死をされてしまう事もあります。無料の相談こそ、お金が無かったり、親や先生に相談できない、思春期の若者が多い特徴がありますので、実に心配です。
大学を含め養成機関が本来の社会的意義をおろそかにして、金儲け主義に傾向していると言わざるを得ません。
 
実際、大学では高校までの“学力”で選考し、入学させているわけですし、大学院の選考で
すら“学力”、その中でも英語力が中心です。“人物評価”や“社会的知識”、“常識”は問わ
れないのです。勿論学問ですので、全員が心理士、カウンセラーになるわけではありませ
んが、どう思われますか。
また、養成機関に到っては、基本誰でも全員受け入れ、全員卒業させ各各独自の資格を
付与しています。多くの機関で資格を付与した後は、言葉は悪いですが、野放し状態で
す。
                    
大学では心理学をしっかり勉強され、専門性を高めていくわけですが、専門を極めれば極
めるほど狭義になりがちです。養成機関では来談者中心療法以外全て概論を学んでいる
に過ぎません。この状況では広域の相談を受けるのに相談者を受けとめ、聴き続けること
しか出来ませんから、それこそがカウンセリングだとされがちです。
カウンセラーのHPを良く見て下さい。聴き続け・寄り添い・共に伴走する、助言は行わず相談者ご自身で気付かれるよう導くなどの表現をしている所の多いことに、お気付きになるでしょう。
カウンセラー全員がこれでは解決されない問題も多いですから、結局お困りの方も大勢で
ることになります。
 
もっとも傾聴技法を身に付けるだけでも実はかなり時間がかかり、更に臨床経験豊富なカ
ウンセラーとのロールプレイの実習を繰り返さなければなりません。真にカウンセラーになりたい方は傾聴技法の修得だけでも2年以上かかります。
そして、様々な形態で活動を始める訳ですが、傾聴技法しか身についてない方は、それに徹していただければまだ良いのですが、逆に傾聴だけを行うようにと習っていながら自分の体験や人生経験でアドバイスをしてしまう方が最も低レベルのカウンセラーです。
年配者やビジネスマン上がり、主婦でひと段落ついた方、心の病の既往歴がある方に多々見られる傾向です。
 
こう書くとカウンセリングなど受けてもしょうがないと思われるかも知れませんが、実力を備えたベテランのカウンセラーは傾聴技法を基本としますが、より幅の広いご相談に対応できるよう心理学・医学・薬学・法律などの専門知識、一般常識からビジネス知識と多種の心理療法を身につけていますので、指導もアドバイスも行います。また、専門外のことははっきりお受け出来ないと答えます。

誤解をされないように付け加えますと、大学でも、養成機関でも心理士・カウンセラーを職業としたい方の為に、熱心に多種の心理療法を指導、環境を整えている所もあります。また、学んでいる方も傾聴技法だけではカウンセラーを職業には出来ないと考える方も多く、しっかりと自己研鎖されています。しかし、この世界ではあくまでもスキル以上にキャリア、人間性が必要です。多くの相談者さまから学ばせていただく事がとても重要で、本来のスキルはこのことにより付きます。

心理士・カウンセラーと何回か書きましたが、皆様どちらもお聞きになった事があると思います。カウンセリングは聴き続けるものだと決め付けられていることも多々あるので、そう考えているセラピストは完全にカウンセラーですね。心理士は多種の心理療法を使えるセラピストと思われれば本来は良いのですが、実態はどちらも同じです。但し、数あるカウンセラーの中で学力的に最も難易度が高いとされる臨床心理士は、専門性を極めているだけに、却って多種の心理療法が使えないことも多いようです。唯一の心理職国家資格、公認心理師はまだどのようになっていくか数年分からない状況です。
 
どちらにしても一人のカウンセラーで全てのご相談を受けることは無理です。
ただ臨床心理士がいいとかではなく、ご自身の相談内容に対して充分な臨床経験や専門性があり、どのように対応されるか、更に性別や特に年齢も関係してきます。30歳前後の
カウンセラーにストレス、悩みが一番多いといわれる4、50歳代の方がご相談できるでしょうか。医師ではありませんので、心を開かれる方のほうが少ないはずです。このあたりを良く見極めて相談施設を選ばれる事が大切なわけです。
 
さて、以降は一般的な心理カウンセリングから心の病に対するカウンセリングにしぼって話を進めていきます。
 
精神領域の専門医ならカウンセリング(毎回相談にのってくれる)をしてくれると思われている方が多いわけですが、前述の通り、初診時に話を聞いてくれるだけで、医師はカウンセリングを行いません。基本的には薬の処方のみの対応となります。その薬に対してもきちんと効果、副作用などを説明して処方してくれれば良い医師なのですが、効果に対して医師も薬だけで必ず治せると言う確信を実はもっていません。ですから効果の説明など出来ないわけですね。
 
これは一時「鬱病は必ず治る病気です。早く専門医にご相談を」と政府の広報が言い切っ
てしまったことなどから、患者さんとの溝は深まるばかりになってしまいました。鬱病よりも他の心の病のほうが、処方のセレクトも難しいのですから、医師も必ず治す自信があると言い切るほうが異常かもしれません。
但し、患者さんを心配させることも出来ないわけですから、一人にかける時間だけの問題
だけでなく、話は聞かず、しゃべらずになってしまうわけですね。

患者さんの声としてよく聞く「医師は薬の話しかしない」これはある意味当然なのです。医師の仕事としては的確な診断と薬の処方でしかないのですから。
 
患者さんは心の病とはいえ、精神領域の病と診断されれば、とても不安です。原因も解決
法も治る期間も知りたいわけです。でも医師はそれらにはっきり答える事が出来ないので
す。精神の専門医にかかっているのに患者さんの悩みは改善されず、時には深まるばかりです。このとき医師より、医学的な知識はかなり劣るとしても、カウンセラーがその悩みを聴きいれてあげるだけでも患者さんの心理面はかなり楽になります。
更に薬の効果やその効かせ方、病に合った心理療法を施す事が出来たらどうでしょうか。
 
私でしたら「思考オーバー」と良質な休息・睡眠の取り方の指導、長年の臨床経験から築いた多種の心理療法を施すことにより、医師の治癒率を上げるお手伝いが出来ることも多いと自負しています。自己治癒力を上げる事も出来ますし、医師では対処出来ない(薬が無い)心の病に対してもアプローチが出来ます。これは私だけでなくベテランカウンセラーなら出来ることなのですが、全国で数は限られてしまうと思います。
 
しかも、精神医療の治癒は癌などと同じく、完治ではなく寛解という言葉で表されるように、発祥のメカニズムですら解明されてないわけですから、このまま治るかも知れないし、再発するかもしれないというニュアンスになってしまいます。
 
先ほどカウンセラーの相談内容は広域と申しましたが、ここ20年ほど40%近くのご相談が広義の心の病です。広義と書いたのは、依存症(アルコール、ギャンブル、PCや携帯など)、自傷行為、ひきこもり、アダルトチルドレン、不登校などを含ませています。これらは薬が無いので、相談業務を行わない医師では対応しきれず、基本的にカウンセラーしか専門家がいないわけです。(各依存症に対しては専門医療施設がありますが、入院させて依存しているものをさせないようにすることが基本治療となります)
近年この状態が続いていますので、一般的なカウンセラーは心の病の方への対応が出来
なければカウンセラーと名乗れないほどになっています。

ここで、医師とカウンセラーの職域の違いを説明しておきます。医師は当然治療、治すの
が仕事です。一方カウンセラーは何故この様な症状、病気になったのか原因を相談者と共
に考え、その原因への対処、改善を援助、指導を行っていきます。このように本来ははっきり分けられるのですが、前述のように、心の病を根本から治す薬はありません。医師は専門医といえども薬の処方しか対応できませんので、根本的な治癒は自己治癒力か原因へ
の対処しかないのです。
自己治癒力を上げるためには、各症状を抑えること、緩和させることも大切なことですので、医師にはしっかりとした診断と処方をしていただかなければなりませんし、カウンセラーも医師が行わない相談部分を担える実力も求められます。
 
鬱病で、医師の処方も良く、患者さんもゆっくりとした休息、良質な睡眠が取れれば1、2ヶ月で治るケースがあります。この場合処方だけで治ったわけではないですね。ゆっくりとした休息と良質な睡眠を取れるよう誰かが指導しなければならないのです。これは医師が一回短時間で指導したぐらいでは無理ですので、やはりカウンセラーの役割に治療の援助を加えなければならないわけです。
また、この治った方がストレスの原因を改善しなければ、100%再発すると私は言い切ります。それほど人の心身は素直なものだからです。

一方、自傷行為(日本ではリスト・アーム・レッグカットが大半です。)を繰り返している方も心の病です。病院では精神科しか対応が出来ませんが、対処療法の薬さえありません。医師は抗不安剤を処方するぐらいですが治療では無いでしょう。
この場合は原因の解決でしか治りませんので、直接的な治療にカウンセラーが関わることになります。
急増している携帯・ゲーム依存症、アダルトチルドレンなども同じです。また、対処療法にしろ全く薬が無いとはいえませんが、自律神経失調症、過緊張、各種神経症などの原因解決にもカウンセリングが必要となります。すごく難しいカウンセリングとなり、適切な心理療法・医学知識などを身につけたカウンセラーの指導が必要となることはおわかり頂けると思います。
 
さて、カウンセラーの本来の役割、原因への対応、指導、改善ですが、自律神経失調症を例えに説明していきます。自律神経失調症は環境面と自身の生活環境の乱れから来るストレスが主な原因といわれています。薬では適切なものはありませんが、つらい症状があれば症状それぞれの処方をしてもらわなければならないでしょう。
 
カウンセラーが原因に関わっていくには2段階に分けます。ストレスの解消法とストレス源の解消です。ストレスの解消は例えば自律訓練法の指導になります。この心理療法は大方のカウンセラーが指導できるほどポピュラーなものですが、技量、手順などの指導力で効果がかなり違います。また、患者さんが正確に行おうとしすぎたり、体感が感じられないと途中でリタイヤしやすい療法でもあります。
その他呼吸法、弛緩法、イメージトレーニングなどストレス解消に良いといわれるものをカウンセラーがセレクトして指導してゆきますがここでも力量の差がんなり出ます。

ストレス源の解消は患者さん個々によって違います。ご自身で生活環境を乱されている方。
リラックスタイムにテレビ、ゲーム、PC、携帯など過度にしすぎ、気づかずに交感神経を高めている人は生活改善を、また環境面で自分が改めなれればならない事がお気付で、更に自分で改善できる方は実行に移して下さい。
 
しかし、対人関係や過労などの環境面や神経過敏など自分で変えられないものは傾聴技法や若干の心理療法では無理ですので、ベテランカウンセラーから臨床経験に基づいたアドバイスを何点かしてもらうとよいでしょう。尤もすべて自分で解決することはとても難しいですので、結局指導力のあるカウンセラーからアドバイスをもらいながら継続した指導を受けていくことが早道になります。
どちらにしてもストレス解消法、ストレス源へのアプローチをしなければ、心の病の多くは、一時良くなっても高い確率で再発しますし、うつ病や仮面うつ病と区別がつかないほどの症状ですのでいずれ鬱病に移行される率も高いのです。
 
この様に心の病を出来るだけ早く(ご本人は焦ってはダメです)治すのは医師の適切な診
断、処方他、臨床経験豊富なカウンセラーのカウンセリングが大きなウェイトを占めます。服薬・休養・心理療法が心の病を治す3点セットといわれる所以です。
 
しかし、処方だけで何年も通い続ける方が圧倒的に多いのが現状です。保険がきかず、1時間10,000円ものカウンセリング料金を払ってまで、カウンセリングを受けに来る方は限られてしまうわけですね。しかも何回かかるかも分からないわけですから無理もありませんが、特に適切な薬もないのに医師にかかっているだけでは、治られていく方も少なく、またとても長期になりがちなのはお分かりいただけるはずです。
ですから東京都内では、ここ20年で心療内科・精神科が4倍以上増えているのに、初診の予約を取るのに何ヶ月もかかったり、新規患者さんを受け付けない所もあります。(全国的に同じ傾向です)
 
医師だけに半年以上かかって、多少楽になるぐらいでは、おそらく相当な期間薬漬けにな
るだけですし、その間副作用との戦いともなります。また、薬に対する耐性もついて来ますので多種、多量の処方になりがちですし、副作用に対して各各薬を出す医師もいます。治ったとしても再発率がかなり高いことはお知らせしている通りです。
やはり多方面からのアプローチは必要なのです。より早く生来の健康を取り戻すか、心身
不良なままの生活を過ごすことをとるか良くお考えになって下さい。

医師側も心の病の方への診断、服薬だけの対応では患者さんの為にならないと判断され、
最近公認心理師、臨床心理士、心理学博士、提携の民間養成機関から成績の良い生徒をカウンセラーとして採用するケースが増えています。
患者さんからのメリットとしては、
1. 医師が話を聴いてくれないことへの不満解消になりますし、大事な要点は医師に伝えられます。
2. 医師の指導の下、カウンセリングを行っているので一体感があること。
3. より専門性の学力を身につけたカウンセラーが採用されているので信頼性も高い。
4. カウンセリング料金が比較的安いこと。
などです。
 
デメリットはメリットの裏返し他になります。
メリットの1では主治医への不満は話せませんし、薬で治すという前提がありますので、副作用などの問題には触れられません。
 
2では医師の指導の下では、多種多様な心理療法が使えません。医師は論理的にしっかりとしたものしか許可しませんので、殆どが傾聴技法と自律訓練法そして特に認知行動療法になりがちです。私は心の病の方に認知行動療法が万能とは思えません。
最近どこでもこの療法が主流になっていますが、この療法の基本は偏ったものの見方を正していくものですが、心の病にかかられた方の原因は自分の中だけにあるのでしょうか。
 
もう一方ネガティブ思考をポジティブ思考に切り替えるように導くことですが、日本人の本来の性格上からも、まして病でお辛いときにポジィティブまで導くことは無理です。
良い療法ではあるのですが、患者さんに合わせて必要な部分をセレクト・アレンジしていかなければなりませんし、そのほかでも個々にあった療法はいくらでもあります。
更に医師とカウンセラー共にご自身が相性がよければよいのですが、一方だけではそこに通えなくなります。得てして多いものです。
 
3では医師がそうであるように学力を採用の最優先にしていますが、カウンセラーは学力も大事ですが、一般常識、人格的にも優れてなければなりません。また、専門性が高ければ高いほど、却って広い知識や視野が身に付きにくくなりがちです。
 
4では50分2,000円~5,000円ぐらいのところが多いです。30分1,000円のところもあり。多くの方が保険診療だと思われています。医師以外がカウンセリングを行えば全て保険適用外です。これらの料金で行っているからにはカウンセラーへの報酬もご想像がつくと思います。学力も資格も立派なのですが,この報酬でしかも契約雇用です。医学の勉強のために医師のもとで働かれている方もおりますが、レベル・キャリア何か問題を感じます。
また、僅かだと思いますが厳密には違法行為をしているクリニックもあります。

その他のデメリットとして
1. 心理テストが多く使われます。心理テストは統計学的に論理性がありますが、他国の物が多く、信憑性は如何かと思います。しかし、このテストを医師は診断要素に加えがちです。私の所では心理テストでこんなことを言われたと憤慨される方や悩まれる方もかなりいます。
2. 基本的に一般論のアドバイスしか行えません。医師と意向が異なる事が出来ないからです。個々に対して不充分なアドバイスになりますね。
3. 医師は精神疾患の方を1日50人ほど診るわけですが、カウンセラーを2人常勤させたとしても限界があります。そこでカウンセリングが必要かは医師が判断しますので、必ずしも患者さんの意向に沿うわけではありません。また多くの相談者に常時クリアなカウンセリングを続けるのはとても大変なことです。
4. 医師にかからなければならないわけで、医師は基本どのような心の病でも薬を出しま
す。これを納得できなければカウンセリングは受けられません。
  
などですが、デメリットをかなり強調した書き方になってしまいましたが、料金が安いのは患者さんにしてみれば最大のメリットですから、敢えてデメリットを強調しました。
 
さて、冒頭に25年ほど前から心の病が急増していると書きました。でも私のルームに来室される方の人数は毎年ほぼ同じです。それはカウンセリングルームが増えては消えが続いているからだと捉えていました。しかし、平成の終わり頃あたりから殆どのカウンセリングルームの来室者が減少しています。その理由はメンタルクリニックがカウンセリングルームを併設、またはカウンセラーを採用しだしたこと、そして最も問題なのがカウンセラーの実力不足で、カウンセリング自体の効果に疑問がつけられていることだと思います。
 
心の病の方にとってカウンセリングが如何に重要であるかをお知らせしてきました。心理カウンセリングをお考えになられた方は、当ホームページにカウンセリングルームの選び方を記しておりますのでご参考にしてください。


4 おわりに
 
心の病で苦悩され、日々の生活にも支障をきたしている方が急増しています。
その方たちはご自身の病に対して、どのようにする事が的確な治し方、改善方法なのかは
っきり分からない方も多くいらっしゃると思いますので、医療機関・カウンセリングの現状でお知らせしておきたいことを書いてきました。 
 
薬の服用により症状を緩和させ、ゆっくり休息(思考面も)し、免疫力を高めることにり、
自己治癒力で治る病もあれば、対処療法の薬さえない病もあります。しかし、心身にはっきりとした症状がある方は専門医による診断、管理が必要ですし、一方医師ではどうすることも出来ない病の方は一人や家族、知人だけで悩まず、医療に詳しい臨床経験豊富なカウンセラーに委ねることをお考え下さい。
また、治られた方でも再発防止のためこの様なカウンセラーにかかられることが重要なのですが、高額な料金にとても抵抗があることと思います。
 
しかし、何かを変えていかなければ、治していくこと、再発を防ぐことは非常に困難なのが心の病の特徴でもあります。私の専門なので医療機関とカウンセリングについて述べていますが、他にも良い方法があるかもしれません。
いずれにしても行動を起こさなければ、負のスパイラルに入り、長期にわたりその苦しみはひどくなる事のほうが多いのが現実です。

一日も早く爽やかな生活を取り戻していただくため、一歩を踏み出して下さい。ここに書いてきた事が何かお役に立てれば幸いです。
 

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